にょこにょこ

嘘を書いた雑巾を配るページ

歩いた先の偽書

 最初の一日、深夜のファミレスで、ワシが面白半分で「こういうの作ってみないか?」と提案したところ、「いい! それいい!」と相手方も物凄く乗り気だったものだから、今日そのための一式を買って来た。完全に深夜テンションが成せる業だった気がしないでもないが、出来上がってみれば案外それなりのものになるかもしれない。
 深夜の力は凄まじく、重い軽いを除けばアイデアは無尽蔵だった。ワシは全部を採用したくなり、後々にどんな事をしたくなっても出来る余地があるように、言ってみれば未来が明るいように、思い出、が心、を育てるように、メモリーもハードもうんと高いやつを買って、自律的に発展するシステムを作り上げた。これによってアイデアは無限に採用でき、あらゆることが、自分でしなくても見ていればそのうち起こるはずである。
「やあ、これほど有れば良いだろうさ。何にしろ自由がよろしい」
 ということで土台は整った。後悔の無い奥行きは出来たはずである。
 次の一日は、ワシはスペースキーを押し続けて余白をいっぱいにとってやった。名前はそのまんまスペースで行こう、と考えた。
 三日目、塗りつぶしツールを使って、たくさんとった余白の背景色を真っ黒にした。もちろん何かを秘しているようで思い焦がれてくれるのが望みである。
 四日目、真っ黒なスペース、そこにドットを打った。これはめちゃくちゃいっぱい打った。全てのスタートにするつもりだった。終わりなき事を願って、スタートの尻を削ってスターと名づけた。
 五日目、サンサンと照る大変な陽気を運ぶものを大変陽気、略して太陽と名づけてスペースに置いた。
 六日目、サンサンが最も気持ちよく当たる場所は青い星、全てをサダメて、なお切っ先鋭く運命の軌跡を切り開く、ここを地球と名づけた。先の自律的なプログラムの根幹はここにあり、もっとも未来――明日を作らねばならない場所だから、そのうちアースとでも呼ばれるかもしれない。
「ほらどうだ、さっそくだぞ、見えるようだ! 風の根本、光の根本を探った人が、見上げる太陽、夜の星、目を細めるのがまるで笑っているようだ! 作りがいがあるってもんじゃないか。最後の一仕事だ。頑張ろう。さあ住む者よ。我々が定めるべきことは全てサダメた。住む者よ。これから何をする?」
 七日目、ワシらは光あれ、と願った。