にょこにょこ

嘘を書いた雑巾を配るページ

マリオ探偵

 4年1組で起こったその事件は瞬く間に迷宮入りした。
 死因は撲殺と見られているが、凶器が不明。外は雨で、教室の床は鑑定さえすれば足跡を見つけ出せる状態にあったにも関わらず、被害者の周りに怪しい足跡は無かった。そして最大の疑問は、死亡推定時刻近隣4時間ほど、この教室は内側から施錠されていた事だ。
 事件当時、この教室は密室だったのである。
「お手上げだ。彼を呼べ」
 警部のその一言に戦慄が走った。彼を呼ぶのであれば事件は解決だ、が、彼は報酬としてとてつもない数のコインを要求するのだ。自らの1UPの為に。不謹慎とは思いつつ、誰もが一時、事件よりまず先に金庫のコインの残高を心配した。

 そして1年2組の優等生、マリオ探偵が到着した。
 オーバーオールにドタ靴、口ひげ、そして「M」のエンブレムが目立つ赤い帽子、誰もが彼とすぐわかった。実際彼の容姿は際だって目立った。多少視力に難があろうと見えた。同時発色数が少なくても、ドット数が限られていても見えたのだ。
 雄弁なる世の名探偵とは裏腹、彼は一言も発しない。ただ、どのように事件が起きたかを完全に再現して見せる。
 その日もマリオ探偵は事件をトレースし「正解」を動き始めた。

「警部、これは……!」
「ああ……間違いない、犯人はやつだ」
 目星を付けて警察は一斉に動き出した。
 約九十秒後、マリオ探偵、逮捕される。
 被害者は踏まれて死んだ。足跡が無かったのは他の生徒を踏み台にして連続ジャンプしたためだ。彼は41人の生徒を踏みながら一度も地面に着かず被害者を踏んだのだ。たまたま40人のメットは死なず、クリボーだけが不運にも命を落とした。
 証拠はある。彼は1UPを34回もしていた。
「しかし、マリオ探偵はどうやって密室に入り込んだんですかね?」
 部下が尋ねた。が、悠然と警部が答える。
「1−2から4−1にワープ出来るのは、常識じゃないのか?」

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