にょこにょこ

嘘を書いた雑巾を配るページ

非連鎖ピラミッド

 子供という概念がわからない。私から出てきた者は、やはり私では無いのか。長老(もちろん私だが)に尋ねると、その通りだと言う。だが同時に、子供は子供である時代なのだ、とも言った。私はわからない。
 聞けば、地上に住む私達は、今は手や、足という物が生え、姿形は大きくなり、漂うだけでは飽きたらず働く事を始めたという。漂って生きるのは水中だけの特権なのかもしれない。あるいは最初の私たちにしか与えられていない特権なのかもしれない。現に水中の私達の何割かは、ヒレや鱗と呼ばれるものを身につけて複雑化している。
 地上の私達は新たな時代を迎えていると長老は言った。
 彼らは私達の集合体を一個と数える。彼らが産んだ子供は、自分とは別の一個である。彼らには心臟がある。だが彼らの中に心臟が生きている、とは言わない。心臟があるので生きている、と彼らは言う。私はわからない。
 彼らは自分たちを「種族」とくくる。地球の全員が「私」なのに、彼らは一個と一個で分けるので殺し合う。自分を刺し、自分を撃ち、自分に毒を盛る。私はわからない。
 有機物のスープからまず私が生まれた。私は単純な栄養生活しか出来なかったが、気が付けば私は増えていった。地上に酸素があると知った若い私が、次々と地上へと出て行った。私は彼らを私と思う。彼らは私を思わない。
 私は未だ海に居る。