にょこにょこ

嘘を書いた雑巾を配るページ

ニュー・ミーム

 占いが特に的中するようになったわけでは無い。ただ人々が少しだけ信じすぎるようになった。
 だから占いのある年に一度のその日の為に、俺は荷造りをばっちりやって備えなければならなかった。確率は四分の一。
 そして占い当日、結果が発表された。

大吉……O型
吉………A型・B型
大凶……AB型

 AB型の俺はもちろん、その日のうちにアパートを出た。
 見知らぬ街に紛れ込んで、駅前の巨大ビジョンで放送するニュースにふと目をやる。
「大凶はAB型、A・B・O型の皆さんチャンスです!」
 各地でAB型狩りが始まった。AB型は全人類の五パーセントしかおらず、かつ過去の血液型診断で贔屓されてきたという事実から、A・B・O型の人間の団結力は今までにないものとなっていた。なぜ世の中がこんな事になったのか、今となっては明確な変化の瞬間は思い出せない。
 類型論的診断の流行が終わると、反動のように皆自らの「血」「星」「干支」にプライドを持つようになった。それぞれのグループが出来上がり、人類は分裂する。特に顕著だったのが血液型だ。人類はA・O・B・ABの四つの勢力に別れた。
 そして今、世界は血を争っている。
 そんなわけで、血液型占いが大凶だった今、AB型の俺は逃げ回らなければならないのである。いつ、どこで他の血液型の奴に殺されるかわからないのだ。
 俺はA型のように几帳面なフリをしたり、B型のようにおおざっぱなフリをしたり、とにかく血液型を隠して生活する事にした。
 しかしピンチはすぐに訪れた。あまりにも性格を使い分けすぎた為に、それが「二面性」と捉えられ、結局AB型という事がばれてしまった。他の血液型の人間から袋小路に追い込まれている今のこの状況は、要するにそういう事である。
 俺は一か八か彼らの説得を試みた。
「あんたらが将来産む子供は、AB型かも知れないぜ?」
 互いに顔を見合わせ、ざわめく連中。俺は微笑み、その隙に塀を上って逃げ出す。
 背後からはまだ困惑するような連中の声がする。そして背中には熱い感触がある。見れば俺の腹からは鉄の塊が飛び出していて、その周りに鮮血の花が咲いていた。何故?
 俺は刺されていた。遠のく意識にかろうじて届く声がある。
「残念。私達からはAB型、生まれないんだ」
そうか……お前ら……O型……!