にょこにょこ

嘘を書いた雑巾を配るページ

体感温度

 春夏秋冬って四つもあって面倒だから、「暑いめ」と「寒いめ」で分ける事になった。一年十二ヶ月三百六十五日って面倒だから、西暦は「少ない」と「いっぱい」、十二ヶ月を「最初のほう」と「後のほう」で分けた。細かい所では、時間を「まだあかるい」と「もうくらい」で分けた。
 だから俺の誕生日は「いっぱい最初のほうの寒いめもう明るい」である。
 二十回目の「最初のほうの寒いめもう明るい」時、海外へ旅立つ。世界を知りたかった。北半球から南半球まで、あらゆる国を訪れた。
「アバウト歴」が施行されるずっと前から、俺は夏が好きだった。今では暦の上で「夏」というものは存在しないが、それでも、国から国へ行くときは、いつだって暑いほうへ暑いほうへと海を渡った。
 そして四十回目の「最初のほう寒いめもう明るい」時。
 俺はようやく日本に帰る。
 日本に帰ると、独特の形状のビルが、斬新に空の景色を彩っていた。見たこともない素材が、見たこともないものに使われ、俺以外の人々は難なくそれを使いこなしていた。あらゆる乗り物が空を飛び、地上に車専用の道路の形跡はどこにもない。それらの全ての光景は、俺が海外に飛び立つ前には、到底想像できないものだった。

 かつての同級生は皆死んでいた。俺の同級生は、70歳で死んだり、100歳まで生きたりしていた。
 現在俺は40歳、ただそれは、アバウト歴で換算すればの話だ。