にょこにょこ

嘘を書いた雑巾を配るページ

RPG

 驚くべき法則も、感動的な物語も、英雄の様な一言も、全て経験が物を言うらしい事がわかる。
 例えば「愛犬と離ればなれになり、苦難を経て再開する」というストーリーを思いつくためには、ただ手順通りに人生経験を積めばいい。

1、中学生までに旅行に行き、その途中で迷子になる。
2、高校では文化部に入るが、途中で辞める。
3、大学でもう一度同じ部活に入り、大成する。

 このように然るべきフラグ立てさえ行えば、誰でも簡単に「偉人」になれるのだ、とテレビ放映された時、世の教育ママは狂喜した。
 子供が言う。
「俺、ついにフェルマーの最終定理、証明したぜ!」
 驚いたふうでもなく、もう一人の子供が聞いた。
「すごいな。どうやったら出来た?」
「簡単だった。公園を逆立ち全裸で歩いて、電車の中でおっぱいと叫んで、なるべく多くの友人にマザコンだと思われて、稲川淳二の怪談を本人の前で笑い飛ばすだけだった!」
「そうか。俺はパスタに目覚まし時計載っけるだけで出来たけどな」
「………!」
 おいおい、泣くなよ。もう一人の子供がなぐさめる。そんな風景。
 十年後、世に言う「偉人」が「偉人」たる所以は結果から過程にシフトする。そんな事は予想だにせず、街では子供に奇行を促す教育ママの姿が、新たな日常風景となった。